へむ丸ブログ

~建築に響く笛~

容積率算定の道路幅員_通称:へびたま道路

法52条2項より、容積率算定を行う際は、接道の道路幅員が12m未満の場合、道路幅員に定数を乗じて容積率算定を行います。

確認申請書(建築物)第三面7.ハ に、容積率を記載しますが、こちらには、法52条1項及び2項の規定による建築物の容積率と記載されています。

つまり、都市計画で決定されている容積率(法52条1項)と道路幅員からの容積率(法52条2項)の小さい値を記載することになります。

今回は、法52条2項の道路幅員から容積率を算定する場合の道路幅員について、単純ではない事項について、記載してみたいと思います。

東京都港区の参考資料を提示します。下記のURLになります。

●容積率の算定に使う道路幅員 (city.minato.tokyo.jp)

港区ホームページ/容積率の算定に使う道路幅員 (city.minato.tokyo.jp)

基本的に1本の道路がどこかで他の道路と接続し、交差点が発生します。

その1本の道路でも、場所によって幅員が異なることがあります。

計画敷地の目の前は、幅員6mあるけれど、交差点までの道路部分には、狭くなっている道路幅員4mなどが発生していることがあります。

そういった場合に、単純に容積率算定の道路幅員を6mとすることができるのか否かは、特定行政庁に確認しておく必要があります。

港区のような取扱いが一般的だからです。

これは、建築基準法質疑応答集3P4749などに記載されていますが、道路が交通量に対して機能していることを考慮していることが理由になります。

へびたま道路は、道路を中心にして、両端部に交差点がある状態を一般にいいますが、中央部付近の道路幅員が若干大きくなっていたとしても、機能する交通量を考えると狭くなっている道路幅員分しか機能しないため、このような取扱いが行われています。

敷地に対して、容積率が制限を受けると経済活動上、床面積が稼げなくなってしまうおそれがあるので、注意が必要です。

東京都建築安全条例19条_高層階の住戸の適用の取扱い

東京都内の共同住宅には、東京都建築安全条例16条~20条などを検討する必要があります。

その中でも東京都建築安全条例19条は、内容が複雑でした。

そこで、平成30年10月15日 30都市建企第722号により、運用の明確化が行われました。

参考のURLは、下記のとおりです。

東京都建築安全条例第19条の運用の明確化について(技術的助言)| 東京都都市整備局 (tokyo.lg.jp)

東京都建築安全条例第19条の運用の明確化について(技術的助言) (tokyo.lg.jp)

内容は、これまで曖昧だった内容が明確に表記されることになりました。

その中で、高層階の場合には、留意事項が記載されています。

具体的には下記のとおりです。(その部分のみ抜粋しております。)

・11階以上の階には、消防法において、避難器具の設置を義務づけることが不適当と
されていること(昭和41年5月6日 自消乙予発第7号)を踏まえ、避難上有効な
バルコニーを設けなければならないこととする。 

(1) 高層階の住戸等に設置する窓の構造について
高層建築物の高層階に設置される窓については、機能上の必要性から、はめ殺し窓が
採用されることがあるが、このような場合については、居室の通風を確保する代替措置
が講じられれば、当該窓については、開放して通風を確保できる構造とする必要はない。
(2) 高層階の住戸等に設置する避難上有効なバルコニー等について
条例第19条第1項第三号により各住戸等の居室に設けた避難上有効なバルコニー等
からは、同項第二号の窓が直接面する道路又は窓先空地まで避難できることが原則であ
る。ただし、以下の住戸等については、避難上有効なバルコニー等から直接地上まで避
難することが困難であると考えられるため、例えば、中間階で避難階段に連絡する安全
な避難通路を降下先とする等、代替の避難経路を確保することで、窓が直接面する道路
又は窓先空地まで避難できることを要しない。
・高層階(11階以上)の住戸等
・条例第19条の適用を受けない用途に供され、避難上有効なバルコニーが設置されて
いない部分の上階に設ける住戸等

 

結論として、高層階の住戸には、避難上有効なバルコニーを設ける必要がありますが、具体的に「避難上有効な」とは「避難階段に接続する」などの対応が必要となります。

その代わりに、窓から直接窓先空地に避難器具を使って降りることまでは求められない。ということです。

建築面積300m2超えの小屋組みが木造の建築物

建築面積が300m2を超える場合の小屋組みが木造の場合、制限が出てきます。

気付かずに後で指定確認検査機関などに指摘されて、そんな条文があるんだ!!とびっくりしたことがあります。

具体的には、令114条第3項になります。

建築面積が300m2を超える場合の小屋組みが木造の場合、小屋組みの直下の天井の全部を強化天井にするか、桁行間隔12m以内ごとに小屋裏に準耐火構造の隔壁を設けなければなりません。

比較的大きな小屋組みを持つ建築物では、木の梁や小屋組みを見せたいと思われますので、強化天井で見えなくしてしまうことは意匠上難しくなります。

そうすると、桁行間隔12m以内に小屋組みに延焼防止のための隔壁を設けることになります。

ただし書きで、

一号 法2条9号の二イの建築物(耐火建築物など)

二号 令115条の2第1項第七号に適合するもの

三号 H6告示1882号の基準に適合する上屋(農業、畜舎水産物養殖場

のものは、隔壁設置が除かれます。

ここで、条文の読み方が特定行政庁により若干差があるのが、第二号です。

第二号は、令115条の2第1項第七号を読むことになりますが、この条文の読み方が複雑です。

令115条の2第1項第七号

建築物の各室及び各通路について、壁及び天井の室内に面する部分の仕上げが難燃材料でされ、又はスプリンクラー設備、水噴霧消火設備、泡消火設備その他これらに類するもので自動式のもの及び第126条の3の規定に適合する排煙設備が設けられていること。

となっております。

この条文は、①仕上げの難燃材料とする。又は②スプリンクラー設備等+排煙設備とする。

と単純に読んでよいかということを確認しておく方がよいと思われます。

なぜかというと、①仕上げの難燃材料とする+排煙設備。又は②スプリンクラー設備等+排煙設備とする。とも読むことができるためです。

上記の読み方は一般的ではないので、注意が必要です。

排煙設備_防煙垂れ壁_自然排煙設備の有効面積

令126条の2、令126条の3に排煙設備の規定があります。

また、H12年建告1436号も排煙告示として利用することになると思われます。

今回は、防煙垂れ壁により室を区切る場合の自然排煙設備を計画する際に注意が必要な部分について、記載しようと思います。

防煙垂れ壁は、天井から50cm以上必要です。

自然排煙設備は、天井から80cm以内の開口部分が排煙上有効となります。

上記のことを踏まえて、隣接する室の排煙設備が異なる場合を例とします。

室①(自然排煙設備)と隣接する室②(告示1436号第四二(2)の防煙垂れ壁)の場合、まず低い方の天井から50cmの防煙垂れ壁が必要です。

次に、室①の自然排煙設備は、防煙垂れ壁の下端より上部しか排煙上有効とは扱うことができません。

よって、天井から80cmまでは少なくとも防煙垂れ壁が必要となります。

文章で書くとわかりづらい部分ではありますが、隣接する室の開口部(ドアなど)の高さが十分に確保できない場合が発生するので、注意する必要があります。

建築面積_特例軒等_法改正

令和5年4月1日に法改正により施行されています。

令2条1項二号 建築面積 が合理化されています。

確認申請書 第三面も書式が変更されています。

(指定確認検査機関のHPで確認してみてください。)

建築面積の記載内容では、下記のような内容に変更されています。

建築物の外壁等の中心線で囲まれた部分の水平投影面積によりますが、

これまでは、先端から水平距離1m以上突き出たもの(はね出し部分)は1mまでは除くことが可能でした。

令和5年4月1日以降は、「特定軒等」の場合は、告示などの条件に応じて、5mまでは除くことができるようになっているようです。

「特定軒等」とは、工場又は倉庫の用途に供する建築物において専ら貨物の荷下ろしその他これに類する業務のために設ける軒等でその端と隣地境界線との間の敷地の部分に有効な空地が確保されていることその他の理由により安全性、防火上及び衛生上支障がないものとして国土交通大臣が定める軒等

と記載されています。

つまり、告示に詳細に記載されているということになります。

該当する告示は、令和5年2月28日告示第143号_安全上、防火上及び衛生上支障がない軒等を定める等の件 となります。

上記の告示に詳細に条件が記載されています。

また、国住街第249号の記載は下記のとおりです。

工場又は倉庫の用途に供する建築物に設ける軒等の下部であって、貨物の積卸しのためにトラック等が停留又は駐車するための部分 とあります。

こちらの取り扱いのQAが、パブリックコメントに掲載されています。

令和5年2月28日告示第143号の質問と回答という感じです。

1)物販店舗の荷卸し部分は不可です。物販店舗に直接庇が接続すると不可ですが、物販店舗に附属する倉庫と庇が接続していると可能です。

 こちらは、平面計画により判断することになりそうです。

2)庇下を荷卸しのみの業務として利用することはよいが、庇下の一部を物品の保管に利用する場合は、庇下全てが適用除外になります。

 一体の庇下の一部を5m除くなどの適用はできないということです。

3)敷地境界線までの水平距離5m以内に別棟の建築物等がある場合については、別棟の建築物等の有無は問わない。

4)外壁面の2面にわたる一つの庇で、片方のみしか隣地境界線までの距離が5m以上を確保できない場合は、その一体の庇すべてが適用対象外となります。

5)庇の一部に上階がある場合は、その庇は該当しない。

一部の情報を記載していますので、上記の元情報をご確認頂ければと思います。

屋外避難階段の開口部とたて穴区画

屋外避難階段の場合、周囲に開口部を設けることができない制限があります。

令123条2項一号に規定されています。

・階段は、その階段に通ずる出入り口以外の開口部から2m以上の距離に設けること。

この条件で、注意を要する部分の例を挙げます。

・1階の開放型の自動車車庫がある場合、その部分は開口部として扱います。よって、屋外避難階段から2mまでは耐火構造の壁・床などで区画する必要があります。

 ただし、小規模な駐輪場(自転車置き場)は設置可能な場合が多いと思われます。こちらについては、事前に特定行政庁に確認しておく方がよいと思われます。

 

続いて、防火避難規定の解説に、屋外避難階段から2mの図り方が掲載されています。

具体的には、階段の床面の下部と上部2m以内は開口部の設置不可が基本です。

この掲載の状況をみると、屋外避難階段の上部、下部2m以上の距離には開口部を設けることができるような記載になっています。

この条文に引っかかってきてしまうのが、令112条11項たて穴区画です。

たて穴区画によると、階段と屋内部分とを区画する必要があります。

これは、階段と屋内部分とを平面的に区画することになります。

具体的な計画では、屋外階段が建築物の周囲にとぐろを巻くような計画の場合です。

階段の上部も下部もたて穴区画の対象です。

よって、階段下部、上部の開口部には、閉鎖機構(遮煙)を持つ防火設備が要求されます。

計画上、大きく制限を受けることになります。

非常用の照明_採光上外気に有効に開放された通路

一定規模の建築物には、非常用の照明装置を設ける必要があります。

該当する建築物の居室は、令126条の4によります。

【建築物の居室】

・法別表第1(い)欄(1)~(4)までの用途の建築物の居室

・階数が3以上で延べ面積500m2超えの建築物の居室

・令116条1項一号に該当する窓などの開口部を有しない居室

(採光上有効な部分の面積が、居室の床面積の1/20以上)

・延べ面積1000m2超えの建築物の居室

また、上記の居室から、地上に通ずる廊下、階段その他の通路並びにこれらに類する建築物の部分で照明装置を通常要する部分に、非常用の照明装置を設ける必要があります。

ただし書きで、住戸内部や病院の病室などが除かれています。

また、それ以外に除かれている部分があります。

「採光上有効に直接外気に開放された通路を除く。」となっています。

上記の内容は、2つの要件を満たすことと防火避難規定の解説に記載されています。

1)当該廊下、階段に設けられた開口部が、ほぼ全体にわたって建築基準法施行令20条1項により算定された採光上有効な部分に該当していること(採光補正係数が正又は0の部分は適用可能)

2)排煙上支障のない状態で外気に開放されていること

この条件が非常用の照明装置が必要な建築物に対して適用可能です。

 

しかし、用途が共同住宅の場合は、上記の取り扱いではなく、下記の条件を適用させる必要があります。

・開放廊下、屋外階段(階段の2面以上かつ周長の1/2以上が有効に外気に開放されている階段が原則)が隣地から50cm以上かつ、敷地内の建築物から2m以上離れていて、手すりの上端の開口が天井高さの1/2かつ1.1m以上開放されている場合は、当該開放廊下、屋外階段への設置を免除できる。

共同住宅の取り扱いは厳しく制限されています。