へむ丸ブログ

~建築に響く笛~

建築設備のみの確認申請(昇降機以外)

昇降機の単独の確認申請はあります。

それ以外の設備にも確認申請があります。

提出などを行わずに勝手に工事を行っている場合も多々あると思われますが、法分上の取扱いについて記載していきます。

 

建築設備の確認申請の条文は下記のとおりです。

法87条の4、令146条、(法12条3項、令16条3項)に規定されています。
また、東京都では、東京都建築基準法施行細則12条より、法第十二条第一項の規定により報告の対象となる建築物に設ける建築設備のうち次に掲げるもの。とあります。
特定建築設備
具体的には、換気設備、排煙設備、非常用照明設備、給排水設備(タンクや排水槽を設けるもの。)

上記の設備を設置、変更する場合には、確認申請と完了検査もあるということです。

指定確認検査機関に問い合わせても、申請書自体がHPにアップされていない場合もあります。

東京都のHPなどには提出することが可能です。

ただ、提出するか否かは微妙な話です。

東京都バリアフリー条例_診療所

高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律 通称バリアフリー法といいます。

バリアフリー法14条3項に地方自治体が条件を付加できることになっています。

上記の条文から、東京都の場合にも条件が付加されています。

注意すべきは、バリアフリー法に適合させる必要があるか否かを確認する必要があります。

バリアフリー法への適合義務は、特別特定建築物に該当し、床面積により、確認する必要があります。

そこで、東京都の場合の「診療所」は要注意です。

東京都バリアフリー法4条に記載されています。

・診療所(患者の収容施設を有するものに限る) :0m2(つまり全て義務です。)

・診療所(患者の収容施設を有しないものに限る):500m2以上

上記のように、診療所が2回出現しています。

東京都建築安全条例第11条第2項第一号、第二号の読み方

東京都内の31mを超える部分を東京都建築安全条例9条の一部に該当する用途に供する部分を設ける場合、直通階段のうち1以上を特別避難階段とする必要があり、その他の階段は屋外に設ける避難階段としなければなりません。

しかし、一定の条件を満たすことで特別避難階段の設置を避けることができます。

一定の条件とは床面積100m2以内の区画(開口部は特別避難階段)です。

共同住宅の住戸については、200m2以内の区画とすることができます。

東京都建築安全条例第11条第2項第一号、第二号でそれぞれ注意する必要があります。

東京都建築安全条例第11条第2項本文から、「次に掲げる部分を除き、」となっていることから、第一号と第二号はそもそも除かなければならないことになります。

これは、100m2を超えることとは無関係になります。

また、一号には、「階段室の部分」とありますが、こちらに屋外階段は含まれるのか?については、指定確認検査機関や特定行政庁に確認することになります。

これまで、屋外階段は、竪穴区画の防火設備のみでよく、特定防火設備までは求められない場合もあります。

しかしこちらはよく確認しておくべきだと思われます。

続いて、第二号には、自転車置場や自動車車庫の区画の方法が記載されています。

その中に自動式の泡消火設備など 及び 排煙設備を設ける必要性が書かれています。

こちらの読み方は要注意です。

第二号は、自転車置場は、区画のみです。

それに対して、自動車車庫等は区画 プラス 自動式の泡消火設備など 及び 排煙設備が必要となります。

第二号の条文をよくよく読むとそのように読むことができますが、早とちりしないことが重要です。

構造設計一級建築士の関与_設備設計一級建築士

今回は、建築士法の話になりますので、士法と省略させて頂きます。

一級建築士として、5年以上の構造設計や設備設計の業務に従事した後、講習を受けて終了考査に合格して登録すると構造設計一級建築士、設備設計一級建築士になります。

建築士法10条の3)

今回は、構造設計一級建築士が関与しなければならない建築物についてです。

構造設計一級建築士の関与が必要な建築物は、士法20条の2に規定されています。

一般に、構造のルート2 又は ルート3だと構造設計一級建築士の関与が必要のような気がしますが、正確には士法20条の2をしっかりと読む必要があります。

士法20条の2には、第3条1項に規定する建築物のうち建築基準法20条1項一号又は二号に掲げる建築物に該当するものの構造設計を行った場合に限られています。

士法3条1項は、一級建築士でなければ設計等ができない建築物になります。

また、建築基準法20条1項一号又は二号にも該当する場合に限られています。

構造計算ルート2又はルート3は、あくまでも構造計算の手法なので、士法20条の2に該当しない建築物をルート2又はルート3で計算することも可能です。その場合は、構造設計一級建築士の関与は不要です。

31mを超える建築物_非常用の昇降機を設けない

31mを超える建築物になると、計画上様々な条件を満たさなければならなくなります。

高い建築物になると昇降機が設けられます。

昇降機は、法34条に規定されています。

31mを超える建築物の場合は、非常用の昇降機を設ける必要があります。

しかし、令129条の13の2に規定されている建築物については除かれています。

令129条の13の2の取り扱いについて、誤解される個所があります。

それは、令129条の13の2第二号になり、下記のとおりです。

・高さ31mを超える部分の各階の床面積の合計が500m2以下の建築物

何が、誤解を受けるのか?

例えば、31mを超える階が12階、13階、14階の場合

一般には、12階、13階、14階の床面積の合計が500m2以下であれば、非常用の昇降機は不要です。

しかし、12階500m2以下、13階500m2以下、14階500m2以下であれば、各階の床面積の合計が500m2とも読むことができますが、こちらは適当ではありません。

消防検査が必要な建築物

建築確認の完了検査が近づいてくると消防の検査が必要な場合は、消防と協議して日程を調整することになります。

建築確認の完了検査は、法7条(特定行政庁)、法7条の2(指定確認検査機関)に規定されています。

その他に完了検査時に並行して手続きするものとしては、瑕疵保険、建設性能評価、性能証明、省エネ適判(完了検査と同時)、フラット35(SA,SB)なども漏れないように注意が必要です。

 

消防の完了検査の条文は、下記のとおりです。

消防法第17条の3の2、施行令第35条、令別表第1

上記の条文が原則ですが、管轄の消防によっては、消防検査がある場合があるようですので、確認することが重要と思われます。

消防検査がある場合は、確認申請時に消防同意があり、同意後、副本に消防からのぺら紙が添付されています。

東京都内の場合は、A4の紙が半分に切られた紙が添付された状態で消防同意が返却されています。

埼玉県や千葉県や神奈川県などは、A4サイズだったような気がします。(確かではありませんが、、、)

この消防同意時の消防からの紙に、検査の対象の消防設備にチェックが記載されています。

例として、「共同住宅」の場合、条文からは、

300m2以上のもののうち、消防長又は消防署長が火災予防上必要があると認めて指定するもの

が消防検査の対象になります。

仮使用認定_指定確認検査機関での

法7条の6に仮使用認定について記載されています。

法6条1項一号から三号までの建築物を新築、増築、改築、移転、大規模の修繕・模様替えの工事で、政令で定めるものに関する工事を含む場合は、検査済証の交付を受けた後でなければ使用できません。

ただし書きで仮使用認定があります。

仮使用認定は、一号より特定行政庁が認めた場合と、二号より指定確認検査機関が適合を認めた場合の2パターンがあります。

二号の指定確認検査機関によることができなかった時は、一号の特定行政庁による認定しかありませんでした。

 

提出する書類は、規則4条の16にあります。

安全計画書の提出が必要なことは注意点です。

 

指定確認検査機関の基準は、H27年告示247号に定められています。

一、工事完了前で、外構工事以外の工事が完了している場合

二、一号以外の場合

とあります。

二、が多分に利用される仮使用認定かと思われます。

具体的には、建築物自体が工事中で、一部を仮使用する場合の注意事項です。

① 仮使用部分と工事中の部分とを1時間準耐火構造の床、壁、常時閉鎖式の特定防火設備で区画すること。

② 仮使用する者(居住者や占有者のみでなく、仮使用部分への搬入業者や清掃業者等も含まれます。)の経路と工事施工者等の経路が重複しないようにすること。

経路が重複する場合は、時間をずらして経路を分ける方法やガードマンを利用しての経路を分ける方法は、指定確認検査機関の仮使用認定は不可です。

このような告示に記載されていない方法は、特定行政庁の仮使用認定であれば可能性はあります。

建築物外部の敷地内の経路の区画方法は、ガードフェンスやバリケードなどでも可能です。

建築物内部における経路の区画方法は、ピロティやバルコニー等の外気に十分開放され、かつ、屋内的用途に供しない部分での経路の区画についても、「建築物外部(敷地)における区画方法」と同様の扱いでよいとあります。

 

仮使用時点では、取り壊し前の建築物が残っていたり、足場が残っていたりします。

その際、下記の規定は適合しないことはやむを得ないと認められるため、従前の建築物の除却を完了するまでの間は適用しないとされています。

・外壁の防火規定

・居室の採光規定

・集団規定

・建て替え工事により無窓居室となることから直通階段の歩行距離、非常照明不適合部分

ただし、この場合も非常用進入口、排煙設備は適用されます。

 

仮使用は、原則3年以内です。

延長する場合は、再度仮使用認定を受ける必要があります。